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漢方のはなし その3 ~なぜ漢方を勉強するようになったか~

2020年8月23日

シリーズ 漢方のはなし、第3回はお答えいただいたアンケートの中にあった質問にお答えしようと思います。

アンケートは今も継続中ですので、漢方について知りたいこと、こんな記事が読みたい!などございましたらこちらからお気軽にアンケートに参加してみてくださいね☆

さて話を戻して今回は私自身が『なぜ漢方を勉強するようになったか』についてお話したいと思います。

ちなみにホームページをご覧の方はすでにご存じかもしれませんが私の経歴を簡単にご紹介すると…

2006年に順天堂大学医学部を卒業し、2年の初期臨床研修を経て同大学の消化器内科に入局。以後は胆膵疾患の内視鏡治療やがん治療を専門としていました。もともと名古屋での開業を予定していたため、2017年に医局を退局した後は名古屋に戻り、市中病院で非常勤医師として内視鏡を行いながら開業の準備を進めて、2019年4月に晴れて末盛内科クリニックを開院しました。

これだけ読むと漢方の『か』の字も出てきませんね…
実は、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私の父は同ビルの2階で『末盛クリニック』の院長をしています。
『末盛クリニック』は東洋医学を専門とした自費診療のクリニックで、漢方と鍼灸治療をメインに治療を行っています。
なので幼少期から私自身、漢方薬を服用することが多く、父のクリニックにもよく行っていたため、東洋医学というものを身近に感じていました。


しかし医師になってしばらくは目の前の仕事にいっぱいいっぱいな毎日で、東洋医学のことはまだほとんど勉強していませんでした。
東洋医学のことを意識し始めたのは、大学で胆膵疾患のがん患者さんを多く担当するようになってからのことです。
西洋医の視点から漢方薬の効能に注目するようになり、徐々にその魅力に引き込まれていきました。諸事情により名古屋に帰ることを考え始め、父のもとで勉強をする機会を作ってもらうようになりました。


東洋医学の教科書や古典も読むようになりました。正直最初はちんぷんかんぷんで、東洋医学独特の用語や表現に戸惑い、本当に理解できるようになるのか不安でした(今でも理解できているのか微妙ですが…)。ただ父の診療や考え方を間近で見るようになり、父ともある程度はディスカッションができるレベルまで東洋医学というものを理解することができました。もちろんまだまだ理解しきれていない部分もありますし、所見から処方に結び付けていく実力もまだまだ足りないことを自覚していますので、今後も勉強を続けて、少しでも父に近づけるように努力していきたいと思います。


最後に、自分が思う東洋医学・漢方の魅力について書かせていただき、漢方のはなし その3を締めたいと思います。
自分が思う漢方の魅力はずばり



患者さん一人ひとりに寄り添う医療であることです。



西洋医学では客観的な数値や画像所見などを基に診断をします。もちろんそれはとても重要なことです。ただ、患者さんが悩んでいる症状が、どうしても西洋医学的に説明がつかないことも多々あります。そのような症状も、東洋医学的見地から患者さんの話を聞き、身体所見をしっかり診ることで、状態にある漢方薬が見つけられるかもしれません。まさに一人ひとりに寄り添った医療だと思います。
自分の診察、見立てで実際によくなっていく患者さんをみるのはこの上ない喜びです。今後も一人でも多くの方の健康に寄与できるよう、努力していきます。


今回は私自身の話がメインになってしまいましたが、次回からは具体的な病気や処方について書いていきたいと思います。


末盛内科クリニック
医師 伊藤智康



当院の漢方治療についてはこちらをご覧ください

過去のシリーズ『漢方のはなし』はこちらのリンクから
漢方のはなし その1 ~東洋医学と西洋医学の違い~ | 千種区覚王山の内科・消化器内科・漢方内科|末盛内科クリニック (suemori-clinic.com)

漢方のはなし その2 ~東洋医学の診察法『四診』について~ | 千種区覚王山の内科・消化器内科・漢方内科|末盛内科クリニック (suemori-clinic.com)