皆様ご無沙汰しております。細々と続けてきた『漢方のはなし』も第10回を迎えることができました。
今回は寒くなってくると相談の増える『冷え症』について書いていきたいと思います。
『冷え症』という言葉はよく使われますが、西洋医学では『冷え症』を病気として扱うことはありません。一方で、東洋医学では『冷え』は様々な症状につながっていると考えられており、診察を行う上で非常に大切な所見になります。東洋医学の診察法である四診の中の切診、いわゆる触診でも必ず体に『冷え』があるかどうかを確認します。『冷え』にも様々なタイプがあり、併存する症状によっても処方する漢方薬が大きく変わります。
以下が代表的な処方になります。
『手足の末端の冷えがひどくしもやけができることもある』 → 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
『手足の冷えに加えてむくみ、生理痛、生理不順』 → 当帰芍薬散
『手足が冷えて頭痛がする』 → 呉茱萸湯
『下半身が冷えて頻尿』 → 八味地黄丸
『お腹が冷えて下痢』 → 人参湯
『お腹が冷えて便秘』 → 大建中湯
上に挙げたのはあくまでも代表的なものになりますがこの他にも診察所見や症状に合わせて様々な漢方薬を使い分けています。
これから冷え症の方にとって辛いシーズンがやってきます。※私自身も『冷え症』です…
冷え症にお悩みの方は是非一度お気軽にご相談ください。漢方薬の処方だけでなく、『冷え』改善のためのアドバイスもさせていただきます。
末盛内科クリニック 院長 伊藤智康
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過去のシリーズ『漢方のはなし』はこちらのリンクから
漢方のはなし その1 ~東洋医学と西洋医学の違い~ | 千種区覚王山の内科・消化器内科・漢方内科|末盛内科クリニック (suemori-clinic.com)
漢方のはなし その2 ~東洋医学の診察法『四診』について~ | 千種区覚王山の内科・消化器内科・漢方内科|末盛内科クリニック (suemori-clinic.com)
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