今回は6月1日より開始となった『特定健診』について、その目的と、検査する項目を解説していこうと思います。
こちらの記事を読んでいただくと
①特定健診を行う目的
②具体的な検査項目
以上について、理解できる内容となっていますので、「特定健診ってそもそも何?」「なんのためにやってるの?」「どんな項目をみてもらえるの?」という方は是非最後までお読みいただければと思います。
<特定健診の目的>
特定健診は『特定健康診査』の略称で、40歳~74歳の方を対象とした健康診断です。
主に※メタボリックシンドロームのリスクについて重点的に調べる健診で、日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)の予防・発見を目的としています。
そして健診の結果から生活習慣病発症のリスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が期待できる方に対しては、管理栄養士や保健師などの専門スタッフによる生活習慣改善のサポートも行っています(いわゆる『特定保健指導』といわれるもの)。
従来の検診との違いは早期発見・治療というよりは病気の予防を目的としている点です。
※メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満に高血圧、高血糖、脂質代謝異常が組み合わさった病態で、心臓病や脳卒中発症リスクの高い病態です。
<診断基準>
①腹囲(男性 85㎝以上 女性 90㎝以上)
②血圧 130/85mmHg以上 または治療中
③中性脂肪 150mg/dl以上 または HDLコレステロール 40mg/dl未満 または治療中
④空腹時血糖 110㎎/dl以上 または HbA1c 6.0以上 または治療中
①に加えて②~④のうち 2つ以上該当 → メタボリックシンドローム
1つ該当 → メタボリックシンドローム予備群
該当なし → 非該当
<特定健診の検査項目>
では具体的にどんな項目を調べるのか見ていきましょう。
①基本的な健診項目
・質問票による問診(服薬歴や既往歴、生活習慣についての質問)
・身体測定(身長、体重、BMI、腹囲)
・血圧測定
・尿検査(糖、蛋白)
・血液検査 ア)肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
イ)脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)
ウ)腎機能検査(クレアチニン、eGFR)
エ)血糖検査(糖、ヘモグロビンA1c)
オ)尿酸
②詳細な健診項目(『詳細な健診項目判断基準』に該当する方のうち、性別・年齢等を踏まえて医師が必要と認める方に実施)
・貧血検査(赤血球数、血色素量、ヘマトクリット)
・心電図検査
・眼底検査
※貧血検査、心電図検査については『詳細な健診項目判断基準』に該当しない場合でも実施年度の4月1日時点で40・45・50・55・60・65・70歳の方は拡大項目として実施します。
以上の検査から判定を行い、メタボリックシンドロームやその予備群に該当する方に対しては生活習慣の改善を促すための特定保健指導か医療機関への受診勧奨を行います。
国民健康保険による特定健診は無料で受けられます(社保の場合は自己負担金がある場合もあり)。年に1回のこの機会に、普段健康に自信があって医療機関を受診されない方も是非受診を検討いただければと思います。