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血圧が高いのに症状なしでも受診すべき理由と家庭で測る基準

2026年11月9日
血圧が高いのに症状なしでも受診すべき理由と家庭で測る基準

症状がなくても血圧の確認をすすめる理由


血圧が高くても体に変わったところがないときは、病院で測る血圧で140/90mmHg以上、または家で測る血圧で135/85mmHg以上を目安に、内科での相談を考えてください1。血圧が高いだけでは体の変化が出ないことも多く、そのままにすると血管への負担が進むおそれがあるためです1。


この記事では、症状がないうちに検査を受けるわけ、家での測り方と朝と晩で数字がちがうときの見方、はじめての受診でする検査や薬を使うかの決め方をお伝えします。健診の数字だけでは高血圧と言い切れないこともあります。家でリラックスして測った記録をもとに、いまの体の状態を確かめましょう。


この記事の要点まとめ


  • 症状がなくても、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上を目安に内科へ相談しましょう。
  • 家庭血圧は朝晩に同じ条件で測り、日付・時刻とともに1〜2週間記録して受診時に伝えましょう。
  • 初診では血液・尿検査や心電図などで状態を確認し、生活習慣の見直しや薬について医師と相談します。


血圧が高いのに症状なし、それでも受診は必要?


自覚症状がなくても、健診などで血圧の高さを指摘された場合は医療機関を受診して状態を確認する必要があります1。高血圧は「サイレント・キラー」とも呼ばれ、症状が出にくいまま進行すると動脈硬化を招き、脳卒中や心筋梗塞といった脳心血管病のリスクを高めるためです1。元気なうちに検査で血管や臓器の状態を確かめることに意味があります。


健診で血圧を指摘されたら、症状がなくても内科へ相談を


血圧の高さを指摘された際の相談先は、基本的に内科や循環器内科です。体調に変わりがないと「わざわざ予定を調整してまで行くべきか」と迷うかもしれませんが、まずは健診結果の用紙を持って内科へご相談ください。


末盛内科クリニックでは、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の診察・治療も行っており、健診で異常を言われた方のご相談も受けています。健診会場の緊張した場で測った1回の数字だけでは、高血圧と言い切ることはむずかしいです。そのため、診察をとおしてふだんの血圧がどのくらいかを確かめていくことが、はじめの一歩になります。


自覚症状よりも、検査で今の状態を確かめることを重視


血圧とは、血液が流れる際に血管の壁にかかっている負担の程度を示すものです。高い状態が長く続くと、自覚症状がないまま細い血管から少しずつ血流が悪くなり、腎臓の働きが落ちたり、足の動脈が細くなって歩行時に痛みが出たりすることもあります1。


生活習慣病には、初期には自覚症状が出にくいものが多くあります。そのため当院では、放置による重症化を避けるために定期的な検査を大切にしています。受診することは「病人として扱われること」ではなく、今の身体に負担がかかっていないかを検査で客観的に把握するための手段とお考えください。


数日待たずに受診を急ぐ数値と、救急車を考える症状


症状がなくても、上の血圧が180mmHg以上、または下の血圧が120mmHg以上の高い数値が続くときは、数日待たずに早めに受診してください。血圧がここまで上がり、脳や心臓、腎臓、目などに急なダメージが進んでいる状態は高血圧緊急症と呼ばれ、すぐに治療をはじめる必要があるためです2。


さらに、血圧の高さに加えて、激しい頭痛、胸の痛み、手足のまひ、ろれつが回らないといった症状を伴う場合は、脳卒中や心筋梗塞などの発症が疑われるため、ただちに救急車を呼ぶことを検討してください。なお、妊娠中の方は、かかっている産科の指示に沿って連絡してください。


ポイント

自覚症状がなくても血管への負担は進行するため、健診で指摘を受けたら内科で現状を確かめましょう1。180/120mmHg以上が続く場合や、胸痛・まひなどを伴う場合は早急な受診が必要です2。


家庭血圧と診察室血圧、どの数値から受診を考える?


病院や健診で測る血圧が上140mmHg以上、または下90mmHg以上だと高血圧とされ、家で測る血圧ではもっと低い135/85mmHg以上が目安になります。1回だけの測定値で決めつけるのではなく、複数日にわたって測った数値の傾向から総合的に判断します。


測定する場所収縮期血圧(上)拡張期血圧(下)
家庭血圧135mmHg以上85mmHg以上
診察室血圧(健診など)140mmHg以上90mmHg以上

※上と下のどちらか一方でも基準値を超えている場合が対象となります1。


家庭は135/85、診察室は140/90と基準が違う理由


家で測る血圧は、病院や健診会場で測る血圧(診察室血圧)より低い数字が目安になります3。家では落ち着いて測れるぶん、数字が低めに出やすいためです。


健診や診察室では緊張によって一時的に血圧が上がる「白衣高血圧」が起こりやすい一方、健診では正常でも家庭での血圧が高い「仮面高血圧」が隠れていることもあります。そのため、両方の数値を照らし合わせることが大切です。


なお、当院では、症状がなく歯科受診時の血圧が160/100mmHgだった方には、まずは座ってリラックスした状態で測りなおす対応をとっています。


朝は高く夜は低いとき、低い日を理由に様子を見てよい?


血圧は1日の中で常に変動しており、朝と夜で数値が異なるのは珍しいことではありません。たとえば「朝は142/88mmHg出るけれど、夜は132/82mmHgに下がる」という場合、低い夜の数値だけを見て「大丈夫」と自分で決めて様子を見るのは避けてください。朝の血圧が基準(135/85mmHg)を超える日が続いているなら、数日間の平均的な傾向を医師に伝えて確認することが推奨されます。


当院では、家庭血圧が朝だけ135/85mmHg以上になる方には、夜間に血圧が上昇している可能性があるため、早めに内科に相談するようお伝えしています。


受診時に見せやすい家庭血圧の測り方と記録の残し方


家庭で血圧を測って記録を残すと、血圧の管理に役立ちます。受診時に医師が判断しやすいよう、以下の条件をそろえて測定しましょう。


  • 朝の測定:起きてから1時間以内、トイレを済ませたあと、朝ごはんや薬を飲む前
  • 夜の測定:寝る前(お風呂やお酒のすぐあとは避ける)
  • 測るときの姿勢:背もたれのある椅子に座り、1〜2分ほど休んでから、腕に巻くタイプの血圧計で測る

まずは1〜2週間ほど朝晩の測定を続け、日付・時刻・数値をすべて手帳やスマートフォンのアプリに記録しておくと、診察時の有力な判断材料になります。


初診ではどんな検査をして、結果は何に使われる?


高血圧の初診では、血液検査や尿検査、心電図などを行い、血圧の高さが臓器に負担をかけていないか、あるいは別の病気が原因になっていないかを調べます1。これらの検査結果は、すぐに薬が必要なのか、生活習慣の見直しから始めるのかといった治療方針や、専門機関への紹介を判断するために使われます。


血液・尿検査や心電図では何を確認するのか


高血圧の診察では、単に血圧を測るだけでなく、全身の血管や臓器の状態を調べる検査を組み合わせます1。


血液検査では、腎臓の働き(クレアチニンやeGFR)、コレステロールや中性脂肪などの脂質、血糖値やHbA1cなどを確認し、動脈硬化を進めるほかの要因がないかを調べます1。


また、尿の検査ではたんぱくや血がまじっていないかを見て腎臓への影響を調べ、心電図では心臓の筋肉の負担(心肥大など)や脈のみだれがないかを確かめます。食事運動療法といった生活習慣の改善や、薬物療法を行っても血圧のコントロールが困難な場合は体のホルモンの乱れや腎臓の病気、寝ている間の無呼吸などが原因で血圧が上がる「二次性高血圧」が隠れていないかも確かめます。


院内で分かる検査結果を、治療や紹介の判断につなげる


検査を受けても、そのまま薬が出るとは限りません。末盛内科クリニックでは、血液検査や尿検査などに15分~20分程度で結果が分かる検査機器を使っています。その場で分かった結果を、治療の選び方や、循環器内科・腎臓内科などの専門の医療機関へ紹介するかどうかの判断に役立てています。


現在の臓器への影響度を早めに把握することで、「まずは家庭血圧の記録と生活習慣の見直しで経過を見るか」「お薬による治療を検討するか」「より詳しい精密検査が必要か」という順序立てた相談が可能になります。


当日分かる結果と、後日あらためて確認する項目


一般的に、血液の基本的な項目や尿検査、心電図の結果は、その日のうちに分かることが多いです。一方、ホルモンの詳しい数値などは外の検査機関で測ることが多く、結果が出るまで数日〜1週間ほどかかり、次の診察で説明を受けるのが一般的です。どの項目がその日に分かるかや、診察にかかる時間は受診時の状態によって変わるため、診察のときにおたずねください。


ポイント

初診の検査は、腎臓や心臓への負担や別の病気の有無を確かめるために行います1。検査結果をもとに、生活改善で経過を見るか治療を始めるかを判断します。


受診したらすぐ薬が始まる?相談前に準備しておくことは?


高血圧で受診したからといって、その場ですぐに降圧薬(血圧を下げる薬)の服用が始まるとは限りません。血圧の数値や検査結果、ご家族の病歴、普段の生活背景などを踏まえ、まずは家庭での血圧測定の習慣づけと生活習慣の見直しから始めるケースも多くあります1。


生活習慣の見直しで様子を見る場合と、薬を検討する場合


家庭でリラックスして測った血圧がどの程度かによって、治療方針は変わってきます。臓器への影響が少なく、血圧の上昇が軽度〜中等度であれば、まずは自宅での血圧測定・記録を続けながら、食事や運動などの生活習慣を見直して経過を見ることがあります。ただし、血圧の程度やほかの病気・危険因子の有無によっては、早めに薬を検討することもあります。


外食や残業が多い方でも、麺類の汁を残す・調味料を控えるといった減塩、節酒・禁煙、体重管理、そして適度な有酸素運動を取り入れることが推奨されます1。運動習慣には日常の血圧を下げる働きがあることが複数の研究で示されています4。こうした取り組みを続けても血圧が下がらない場合や、初めから数値がかなり高い場合、脳卒中などのリスクが高い場合には、弱い降圧薬から開始することなどを医師と相談して決めていきます。


家庭血圧の記録と一緒に、薬や通院への疑問も伝える


「一度薬を飲み始めたら一生やめられないのではないか」「仕事が忙しく、どれくらいの頻度で通院できるか不安」といった疑問をお持ちの方は、診察時に遠慮なくお伝えください。薬を飲みはじめてから気になる症状が出たときは、量や種類を見直すことがあるので、早めにお伝えください。


当院では、分かりやすい説明と、お悩みや不安を患者さまから尋ねていただける診察を心がけています。検査室での案内を含め、気になることはスタッフへお尋ねいただけますので、家庭血圧の記録とあわせてご希望をお話しください。


健診結果・家族歴・生活習慣など、初診で伝えたい情報


初診の相談をスムーズに進めるため、以下の情報を整理して持参していただくと状況が伝わりやすくなります。


  • 健康診断の結果の用紙(今年のものに加え、できれば数年分の移り変わりが分かるもの)
  • 家で測った血圧の記録(測りはじめている場合は、朝晩の数日〜2週間分のメモやアプリの画面)
  • ご家族の病気(親や兄弟などに高血圧、脳卒中、心筋梗塞、腎臓の病気があるか)
  • いま飲んでいる薬やサプリメント(お薬手帳など)と、お酒・たばこ・睡眠・食事のくせ

ポイント

受診と薬の開始はイコールではありません。健診結果と家庭血圧の記録を持参し、生活背景や通院への疑問も含めて医師へご相談ください。


よくある質問(FAQ)


Q. 血圧が高くなった時の応急処置はどうすればいいですか?


A. 家庭で測った血圧が一時的に高かった場合は、まず衣服の締め付けを緩め、静かな部屋で背もたれのある椅子に座るか横になって15〜30分ほど安静にしてから測り直してください。深呼吸をして落ち着くことで下がる場合もあります。


ただし、休んでも上の血圧が180mmHg以上、または下の血圧が120mmHg以上が続くときは、家で様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。激しい頭痛、胸の痛み、息苦しさ、手足のしびれ・まひ、ろれつが回らないといった症状があるときは、救急車を呼ぶことも考えてください。


Q. 軽症の高血圧の症状にはどのようなものがありますか?


A. 軽症の高血圧では、特有の自覚症状はほとんど現れません1。人によっては頭重感(頭が重い感じ)、肩こり、めまい、耳鳴りなどを感じることがありますが、これらは高血圧以外の原因でも日常的によく起こるため、症状の有無だけで血圧の高さを判断することはできません1。症状がないまま血管への負担が進むため、健診や家庭での測定値をもとに確認することが大切です1。


Q. 血圧が高い原因は何ですか?


A. 日本人の高血圧の大部分は、はっきりした原因が見つからない「本態性高血圧」です。塩分のとりすぎ、太りすぎ、お酒、運動不足、ストレス、生まれつきの体質などが重なって起こると考えられています1。


一方で、腎臓の病気や、副腎などから出るホルモンの乱れ、寝ている間に息が止まる病気(睡眠時無呼吸症候群)、飲んでいる薬のせいなど、はっきりした原因がある「二次性高血圧」もあります1。はじめての受診でする検査では、こうした原因がないかも確かめます。


参考文献


1. 厚生労働省. 高血圧(e-ヘルスネット). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-003

2. 急に血圧が上がって緊急を要する状態(高血圧緊急症) | つのまる. https://www.miyazaki-u.ac.jp/tsunomaru/kenkounikki/%E6%80%A5%E3%81%AB%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%81%8C%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E7%B7%8A%E6%80%A5%E3%82%92%E8%A6%81%E3%81%99%E3%82%8B%E7%8A%B6%E6%85%8B%EF%BC%88%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E7%B7%8A/

3. 高血圧 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-003.html

4. Saco-Ledo G, Valenzuela PL, Ruiz-Hurtado G et al. Exercise Reduces Ambulatory Blood Pressure in Patients With Hypertension: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Journal of the American Heart Association. 2020. PMID: 33280503. DOI: 10.1161/JAHA.120.018487

5. Rajkumar T, Hennessy A, Makris A. Remote blood pressure monitoring in women at risk of or with hypertensive disorders of pregnancy: A systematic review and meta-analysis. International journal of gynaecology and obstetrics: the official organ of the International Federation of Gynaecology and Obstetrics. 2025. PMID: 39611763. DOI: 10.1002/ijgo.16059