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血糖値が高いまま放置するとどうなる?受診の目安となる数値と何科に行くか解説

2026年10月27日
血糖値が高いまま放置するとどうなる?受診の目安となる数値と何科に行くか解説

血糖値の高さを放置せず、早めに現状を確かめるには


健康診断で血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が高いと言われたら、医療機関で確かめることがすすめられます12。自覚症状がなくてもそのままにしておくと、全身の血管に負担がかかり、合併症につながるおそれがあるためです12。


この記事では、血糖値が高いままだと体の中で何が起こるのか、受診を考える数値の目安、内科と糖尿病内科の選び方をお伝えします。体調に変わりがないと、受診をあとまわしにしたくなるものです。初診での検査の流れや持ち物を前もって知り、ご自分の体の状態を確かめる一歩にお役立てください。


この記事の要点まとめ


  • 症状が乏しくても高血糖が続くと血管に負担がかかり、目・腎臓・神経などに影響することがあります。
  • 空腹時血糖126mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上は受診の目安です。
  • 強い口渇や頻尿、急な体重減少があれば早めに受診し、まず内科で検査や相談ができます。


血糖値が高いまま放置すると、体の中で何が起こる?

血糖値が高いまま放置すると、体の中で何が起こる?

血糖値が高い状態は、体の不調をほとんど感じないまま細い血管と太い血管の両方に負担をかけ、数年から十数年かけて合併症につながることがあります。進み方の速さは人によって違います。ただ、糖尿病と言われる前の「境界型(糖尿病予備群)」の段階から細い血管への影響が報告されているため、早めに確かめることが大切です3。


症状がないのに血管への負担が進むのはなぜ?


血液中のブドウ糖が多すぎる状態が続くと、血管の内側にある壁が少しずつ傷つき、しなやかさが失われていきます1。のどの渇きや頻尿といった自覚症状は、血糖値がかなり高くなってから現れることが多く、健康診断で指摘される段階では普段どおりの体調で過ごせる方が大半です12。


しかし、痛みやだるさがない間も血管への負担はたまっていきます。糖尿病の診断基準に満たない段階(糖尿病予備群)でも、海外の基準でHbA1c 5.7%以上から目の網膜に変化が見つかることがあると報告されています3。一方で、腎臓や神経への影響は、まだ十分に調べられていません3。


目・腎臓・神経の三大合併症と、脳梗塞・心筋梗塞のリスク


高血糖によって細い血管が傷つくと、特に影響を受けやすいのが目・腎臓・神経の3つです1。これらは糖尿病の三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)と呼ばれ、いずれも初期には自覚症状がほとんどありません1。


進行すると、網膜症では視力の低下、腎症では老廃物を尿として出す働きが落ちて人工透析が必要になるケース、神経障害では手足のしびれや感覚が鈍くなるといった影響が出ます1。また、太い血管で動脈硬化が進むと、脳梗塞や心筋梗塞といった大血管障害のリスクが高まるほか、免疫の働きが落ちて感染症にかかりやすくなる点にも注意が必要です1。腎臓の働きは、血液検査のeGFR(推算糸球体ろ過量)や尿検査によって早い段階から調べることができます。


「何年放置すると危険か」に一律の答えがないのはなぜ?


血糖値が高いまま放っておいたとき、何年で合併症が出るかは、決まった年数で区切ることができません。合併症の進み方は、血糖値の高さや続いている長さだけでなく、ほかの事情でも大きく変わるためです。たとえば、血圧やコレステロールが高いかどうか、たばこを吸うか、寝ている間に呼吸が止まるなどの眠りの状態、ご家族に糖尿病の方がいるかなどが関わります。


さらに、今年の健康診断で初めて数値を指摘されたとしても、その時点が高血糖の始まりとは限りません。実際には、数年前から食後の血糖値が高い状態(血糖値スパイク)などが続いていた可能性もあります。「まだ数年は様子を見ても大丈夫」と自分で決めずに、いまの血管や臓器の状態を一度確かめておくことに意義があります。


ポイント

血糖値が高くても初期には自覚症状がほとんど出ませんが、水面下で血管への負担が進むことがあるため、放置期間を年数で判断せず早めに検査を受けることが推奨されます12。


健診の血糖値・HbA1cは、どこからが受診を考える目安?

健診の血糖値・HbA1cは、どこからが受診を考える目安?

おなかが空いたときの血糖値(空腹時血糖値)が126mg/dL以上、食後などに測る随時血糖値が200mg/dL以上、HbA1cが6.5%以上のどれかにあてはまると、糖尿病の可能性が高くなります。病院やクリニックで検査を受ける目安です。ただし、糖尿病かどうかは、同じ日の血糖値とHbA1cの組み合わせや、別の日の再検査で決まるため、1回の数値だけで自分で決めることはできません。


空腹時126mg/dL・随時200mg/dL・HbA1c6.5%の位置づけ


健診の結果票を見るときは、「正常型」「境界型」「糖尿病型」の3つの分け方を知っておくと、いまの状態がわかりやすくなります。


検査項目正常型の目安境界型(予備群)の目安糖尿病型(受診・確認の目安)
早朝空腹時血糖値110mg/dL未満110〜125mg/dL126mg/dL以上
75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値140mg/dL未満140〜199mg/dL200mg/dL以上
随時血糖値(食後などに測った値)――200mg/dL以上
HbA1c――(下の注を参照)6.5%以上

※表の数値は、正常型・境界型・糖尿病型を分けるときの目安です。HbA1cでは境界型を決めず、5.6〜5.9%は「正常高値」、6.0〜6.4%は「糖尿病の可能性を否定できない」段階とされます。


空腹時血糖値は採血したその瞬間の血液中のブドウ糖濃度を示すのに対し、HbA1cは過去1〜2か月ほどの平均的な血糖の状態を反映します12。そのため、空腹時血糖値とHbA1cの両方が基準を超えている場合は、一時的な変動ではなく、しばらくの間高めの血糖状態が続いていた可能性が考えられます2。


一度の高値だけで糖尿病と決まらない理由と、再検査の進め方


医療機関の検査で「糖尿病型」の結果が、同じ日か別の日に2つそろうと糖尿病と診断されます2。たとえば、同じ日に測った血糖値とHbA1cがどちらも糖尿病型なら、1回の検査で診断されることがあります2。一方、どちらか片方だけが糖尿病型だった場合は、別の日にもう一度検査をして判断します2。


血糖値は前日の夕食の時刻や内容、睡眠不足、ストレスなどでも変動します。しかし「前日に会食があったからたまたま高かっただけ」と決めつけて再検査を先送りすると、治療や生活の見直しが必要な状態を見逃すことになりかねません。指摘を受けたら、一度受診して確かめることが大切です2。


境界型の数値や「昨年からの上がり幅」はどう受け止める?


空腹時血糖値が110〜125mg/dLの境界型や、HbA1cが6.0〜6.4%など糖尿病型には届かないもののやや高い段階であっても、医療機関に相談する価値は十分にあります23。この段階は、食事のとり方や運動習慣を少し見直すことで、数値の悪化を防ぎやすい時期でもあるためです1。


また、基準値の範囲内や境界型であっても、前年からの上がり幅が大きいときは注意が必要です。たとえば「昨年は空腹時血糖値が102mg/dLだったのに、今年は118mg/dLに上がった」という場合は、体質や生活環境の変化を知らせるサインとなります。受診の際は、過去数年分の健診結果を並べて推移を確認することが役に立ちます。


ポイント

空腹時血糖126mg/dL以上やHbA1c 6.5%以上は受診の目安ですが、診断には再検査や医師の総合的な判断が必要ですので、1回の結果で決めつけずにご相談ください2。


様子見をせず、速やかに受診したほうがよいのはどんなとき?


強いのどの渇き、多飲、頻尿、急な体重減少、あるいは吐き気や強いだるさ、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、予約や次回の健診を待たずに速やかに受診してください1。これらは血糖値が著しく高くなっているサインであり、急性の合併症を防ぐためにも早急な対応が求められます1。


強いのどの渇き・頻尿・急な体重減少は高血糖が進んでいるサイン


血糖値がかなり高い状態が続くと、体は余分な糖を尿と一緒に外へ出そうとするため、尿の量や回数が増えます(多尿・頻尿)1。その結果、体内の水分が不足して強い口渇(のどの渇き)が起こり、水分をたくさんとる(多飲)ようになります1。


さらに、血液中の糖をエネルギーとしてうまく使えなくなると、体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補おうとするため、食事の量が変わらないのに体重が減っていきます1。夜間に何度もトイレに起きて水を飲む、ここ数か月で急に数キロやせた、疲れが抜けないといった変化があるときは、健診の再検査時期を待たずに医療機関を受診してください1。


血糖値300〜400mg/dL以上や、吐き気・意識の変化があるときは?


インスリンが大きく足りなくなると脂肪が分解され、ケトン体という物質が血液中に増えて血液が酸性に傾き、強い脱水が起こります4。意識がなくなる昏睡は、こうした急な合併症が進んだときに起こるもので、血糖値の数字だけで決まるものではありません4。さらに血糖値が300〜400mg/dL以上の高い状態で放置すると、強い倦怠感や吐き気、嘔吐、腹痛などが現れ、人によっては意識がもうろうとする意識障害が出ることもあります1。


血糖値がとても高くなると、高血糖による昏睡を起こし、入院での治療が必要になることがあります4。このような緊急のときは、ゆっくり長く効くタイプのインスリンだけでは対応できず、効き目の速いタイプのインスリンを使います5。血糖値が300〜400mg/dL以上と判明したときや、高血糖の指摘に加えて嘔吐が続く・息が荒い・意識がおかしいといった症状がある場合は、救急外来の受診を検討してください。


症状がない場合や、妊娠を考えている方・高齢の方の受診時期


自覚症状がなく、普段どおり過ごせている方が、健診で糖尿病型の数値を指摘されたときは、急いで救急にかかる必要はありません。ただし、そのままにせず、数週間から1か月以内を目安にふだんの外来で確かめてもらいましょう2。


なお、受診を急ぐかどうかや相談する先は、その方の状況によって変わります。妊娠中の方やこれから妊娠を考えている方は、血糖の管理がお母さんと赤ちゃんの両方に関わるため、数値が少し高いだけでも早めに産婦人科や内科へ相談しましょう。2型糖尿病がある方の妊娠では、お母さんや赤ちゃんに影響が出ることがあると報告されています6。


また、ご高齢の方や腎臓の働きの低下(eGFRの低値など)を指摘されている方、お子さんの場合は、目標とする数値や治療の進め方が一般の大人とは異なります。かかりつけ医や地域の内科で、状態に合った方針を確かめることが大切です。


内科と糖尿病内科、どちらに相談する?初診では何をする?


健康診断で血糖値の高値を指摘された段階では、まず通いやすい地域の内科で再検査と相談を始め、必要に応じて糖尿病内科や眼科などの医療機関を紹介してもらう方法があります1。初診では問診と血液・尿検査を行い、現在の状態を確かめたうえで今後の進め方を話し合います2。


地域の内科で相談できることと、糖尿病内科を紹介する場合


健診後の再検査や、生活習慣の見直し、定期的な血糖値・HbA1cの経過確認、内服薬による一般的な治療は、地域の内科クリニックで継続して行うことができます。お仕事やご家族の予定と両立しながら無理なく通える場所を選ぶことは、定期的な確認を続けるうえで現実的な選択となります。


一方で、1型糖尿病が疑われる場合や、血糖値がとても高くインスリン注射の開始や細かな調整が必要な場合もあります。腎症や網膜症などの合併症が進んでくわしい検査が必要な場合も含め、こうしたときは糖尿病内科や眼科、高次医療機関と連携して診療を進めます1。まずは身近な内科で状態を評価し、専門外来への通院が必要かどうかを医師と相談するとスムーズです。


初診で行う血液・尿検査と診察の流れ


初診時には、まず普段の食事や飲酒の習慣、お仕事の状況、ご家族の糖尿病歴、現在飲んでいるお薬について問診を行います。続いて、血糖値やHbA1c、腎機能(eGFR)、肝機能、コレステロールや中性脂肪などの脂質を調べる血液検査と、尿糖や尿たんぱくを調べる尿検査を実施します12。動脈硬化や内臓の状態を把握するため、心電図検査や腹部超音波(エコー)検査などをあわせて行うこともあります。


はじめての受診の費用は、健康保険を使って3割を払う場合、ふつうの診察と血液・尿の検査で3,000〜5,000円ほどが一般的な目安です(心電図や超音波の検査を加えると、数千円ほど増えます。ここに書いた金額は一般的な目安で、当院の費用ではありません。実際の費用は、受ける検査や医療機関によって変わります)。


検査の結果、すぐに薬を始めるのではなく、まずは夕食のとり方や軽い運動など生活習慣の見直しを1〜3か月ほど行い、再び採血して変化を評価することも少なくありません1。お薬を使う場合は、低血糖や胃腸症状(下痢や便秘など)といった副作用の起きる頻度と対処法を医師から説明し、体調に合わせて調整します。


持参したい健診結果・記録と、受診前に避けたい自己判断


受診の際は、以下のものをご用意いただくと診察や検査項目の判断に役立ちます。


  • 今年と過去数年分の健康診断の結果票(数値の推移を確認するため)
  • マイナ保険証(マイナンバーカード)または資格確認書
  • お薬手帳(他院で処方されているお薬がある場合)
  • ご家庭での血圧や体重の記録、ご家族の病歴メモ

受診までの間に、「数値を下げてから行こう」と極端な糖質制限や絶食をしたり、自己判断で市販のサプリメントやご家族の薬を飲んだりすることは避けてください。急激な食事制限は体調を崩す原因になるほか、普段の状態がわかりにくくなります。また、すでに高血圧などのお薬を服用中の方は、自己判断で中断せずそのまま継続してご来院ください。


名古屋市千種区の末盛内科クリニックで相談するには


当院でも健診で血糖値やHbA1cが高いと言われた方のご相談や再検査、生活習慣病の診療をしています。院内には血液や尿を調べる機器、心電図、おなかの超音波(エコー)の機器などがあります。その場で結果を見ながら、大きな病院への紹介が必要かどうかもスムーズに決められます。


当院は地下鉄東山線「覚王山駅」2番出口を出て左へ真っ直ぐ進むと左手に見えます(本山駅1番出口からは右へ真っすぐ進むと右手に見えます)ので、健診結果票をお持ちのうえ、まずはお気軽にご相談ください。


ポイント

初診では健診結果を持参していただき、生活習慣の見直しから始めるかどうかも含めて医師と相談できますので、極端な食事制限などはせずにご受診ください12。


よくある質問(FAQ)


Q. 受診する当日は、朝食を抜いて行ったほうがよいですか?


A. 食事の影響を除いて空腹時血糖値を測るときは、前の日の夕食のあとから水やお茶のほかは口にせず、10時間以上あけてから採血するのが望ましいとされています2。ただし、午後に受診するときや食事のあとでも、随時血糖値とHbA1c(食事の影響を受けない目安)で状態を確かめることはできます12。予約や来院の時間に合わせて、前もって食事を控えたほうがよいか医療機関に確かめてください。


Q. 一度受診したら、すぐに糖尿病の薬を一生飲み続けることになりますか?


A. 受診したからといって、すべての方がすぐにお薬を始めるわけではありません。数値の程度や合併症の有無によっては、まず食事の内容や運動などの生活習慣を見直し、数か月後に再検査をして推移をみる方針をとることも多くあります1。お薬が必要と判断された場合でも、血糖の状態が落ち着けばお薬の量を減らしたり種類を見直したりすることがありますので、医師と相談しながら進めていきます。


Q. 初診のあと、どれくらいの頻度で通院することになりますか?


A. 食事や運動の見直しを中心に様子をみる場合は、1〜3か月に1回ほど通い、血糖値やHbA1cの変わり方を確かめることが多いです。ただし、検査の結果や治療の進め方によって変わります。お薬を調整している間は月1回ほどの受診が多く、お仕事やご家庭の予定に合わせて、無理のない間隔を医師と相談して決めていきます。


参考文献


1. 厚生労働省. 糖尿病(e-ヘルスネット). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-002

2. 国立健康危機管理研究機構. 糖尿病は早く見つけましょう(糖尿病情報センター). https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/030/010/01.html

3. Thiab S, Akhal T, Akeblersane M et al. Microvascular complications in prediabetes: a systematic review & meta-analysis. Diabetes research and clinical practice. 2025. PMID: 40419194. DOI: 10.1016/j.diabres.2025.112261

4. 糖尿病の急性合併症のはなし | 糖尿病情報センター. https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/060/010/01.html

5. インスリン グラルギンBS注カート「リリー」/インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」 添付文書(医薬品医療機器総合機構). https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530471_2492420A1021_1_11

6. Clement NS, Abul A, Farrelly R et al. Pregnancy outcomes in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. American journal of obstetrics and gynecology. 2025. PMID: 39662865. DOI: 10.1016/j.ajog.2024.11.026