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冷え性の原因と改善法|生活習慣と漢方で“冷えない体”へ

2025年10月26日
冷え性の原因と対策

「手足が冷たい」「布団に入っても足が温まらない」「夏でも冷房がつらい」——こうした“冷え”の悩みを抱える方は、特に女性を中心に多くいらっしゃいます。
冷え性は単なる体質の問題ではなく、血流や自律神経の乱れなどが関係する身体のサインです。今回は、冷え性の原因と日常でできる対策、そして漢方治療についてご紹介します。


■ 冷え性とは? その原因と病態

冷え性とは、体の深部体温が正常でも、手足や末端に冷えを強く感じる状態を指します。
医学的な疾患名ではなく、血流や体温調節の異常により起こる症候群的な状態です。
原因には諸説あり、次のようなものがあります。

血流障害:冷え性を有する人は交感神経優位であることがわかっており、末梢血管が収縮することにより血流障害を起こしているといわれている。

・熱産生の低下:やせ型であること、筋肉量が少ない、摂取エネルギーが少ない
また、冷房・薄着・長時間の同じ姿勢などの環境要因も冷えを助長します。

■ 日常でできる冷え性対策

冷えを改善するには、「温める」だけでなく、「冷やさない」「巡らせる」ことが大切です。

◎ 生活習慣で意識したいこと

・朝に白湯を飲む:まず内臓から温める。
・適度な運動:ウォーキングやストレッチで血流を促進し、適切なトレーニングで筋肉量を保つ。
・湯船に浸かる習慣を:38〜40℃で10〜15分の半身浴がおすすめ。
・首・手首・足首を冷やさない:「三首」を温めることで体全体が温まりやすくなります。

◎ 食事での工夫

・温性食品を意識的に摂る:しょうが、ねぎ、にんにく、にんじん、かぼちゃ、黒ごまなど。
・冷たい飲み物・生野菜を控えめに:冷たいジュースやアイスの摂りすぎは冷えを悪化させます。
・鉄分とたんぱく質をしっかり:血や筋肉を作る材料になります。


■ 冷え性に対する漢方治療

漢方的には冷えは気・血・水のうちのどの異常でも起こるとされています。特に気虚(やせ型で筋肉量不足)、血液の環流異常である瘀血(おけつ)、水滞では冷えや冷えのぼせが起こりやすいとされています。
診察では舌・脈・腹部などの状態をもとに、体質に合った漢方を選びます。
冷え性に対する漢方については過去の記事:漢方のはなし その10 も併せてご覧ください。
漢方薬は薬局にも売っていて一般の方も手に取りやすいですが、自己判断での服用はおすすめしません。

■ まとめ

冷え性は、体の「巡り」のバランスが乱れているサインです。
生活習慣の見直しと体質に合わせた治療によって、根本的な改善が期待できます。
特に、冷えが長引く・体調不良を伴う場合は、医師による評価をおすすめします。
当院では、内科・漢方の両面から冷え性の原因を丁寧に見極める診療を行っています。
お悩みの方はお気軽にご相談ください。

末盛内科クリニック 院長 伊藤智康