胃がんは自覚症状がないまま進行することが多く、「元気だから大丈夫」と思っている方こそ注意が必要な病気です。
名古屋市では50歳以上の方を対象に、2年に1回、胃がんの早期発見を目的とした対策型検診(自治体が実施する、科学的根拠に基づいた検診)として、胃カメラによる胃がん検診を実施しています。
胃カメラによる胃がん検診は他の自治体でも行われていますが、その中でも名古屋市は500円と安価で受けることができるのが特徴です。
ただ、胃カメラというと『しんどい』『苦しい』というイメージがあって、症状もないのに受けるのはなかなかハードルが高いですよね…
ということで今回は、どんな人が胃がん検診を受けた方がいいかを解説したいと思います。
なお、以下に当てはまる方は名古屋市の胃がん検診の対象外となります。
・胃痛・胃もたれ・吐き気などの消化器症状がある方
・胃の病気などで現在治療中の方
・妊娠中の方
・昨年度に胃カメラによる胃がん検診を受けられた方
・鎮静剤を使用した内視鏡検査を希望される方
これらに当てはまる場合は、検診ではなく通常の保険診療での内視鏡検査が適切となります。
ぜひ胃がん検診を受けてほしい方は以下に挙げる方になります。
①一度も胃カメラを受けたことがない方
②常習的に飲酒や喫煙をされる方
③熱い食事・塩分の多い食事をよく摂る方
①一度も胃カメラを受けたことがない方
これには『胃のバリウム検査は毎年受けているよ』という方も含まれます。
実際の診療現場でも、バリウム検査では異常を指摘されなかった方から、胃カメラで早期胃がんが見つかるケースを経験します。
胃がん検診の目的は胃がんの早期発見を目的としています。胃がんは進行してくるまではほとんど症状がありません。症状がない早期のうちに発見することで早期治療につながります。バリウム検査は進行した胃がんの発見には有用ですが、早期胃がんは見つかりにくい場合があります。
そのため、毎年バリウム検査で異常がない方も、この機会に一度は胃カメラを受けていただくことをお勧めします。
②常習的に飲酒や喫煙をされる方
常習的な飲酒と喫煙は食道がんのリスク因子として知られており、喫煙は胃がんのリスク因子でもあります。胃カメラでは胃だけでなく食道も同時に観察できるため、これらのリスクをお持ちの方には特に有用な検査です。
③熱い食事・塩分の多い食事をよく摂る方
熱い食事は食道がんのリスク因子、塩分の多い食事は胃がんのリスク因子とされています。
こうした生活習慣をお持ちの方にとって、胃と食道をまとめてチェックできる胃カメラは合理的な検診方法といえます。
①~③のうち一つでも当てはまる方はこの機会にぜひ胃カメラによる胃がん検診の受診をお勧めします。「症状がない今こそ受ける」ことが、胃がん検診の最も大切なポイントです。
ご希望の方は検査についての説明、日程調整のため一度お越しいただく必要がありますのでまずはお電話でご相談ください。ご不明な点があれば、検査の流れや注意点についてもスタッフが丁寧にご説明しますので、お気軽にお電話ください。
末盛内科クリニック 院長 伊藤智康