新年度が始まり、新しい環境や生活の変化でストレスを感じやすい時期になりました。そんな中、「なんとなく胃が重い」「食後にすぐお腹が張る」「胃もたれやムカムカが続く」などの症状に悩まされていませんか?
これらの症状が続く場合、それはもしかすると機能性ディスペプシアという病気かもしれません。
機能性ディスペプシアとは、胃の内視鏡検査などを行っても明らかな異常が見つからないにもかかわらず、慢性的に胃の不調が続く病気です。主な症状として以下のようなものがあります。
・みぞおちの痛みや不快感
・すぐにお腹がいっぱいになる(早期満腹感)
・胃もたれ
・食後の膨満感
・胸やけや吐き気
このような症状が続くと、食事を楽しめなくなったり、日常生活に支障をきたすこともあります。
機能性ディスペプシアの診断には胃カメラが必要
機能性ディスペプシアを診断するためには、まず胃カメラ(胃内視鏡検査)を行い、胃潰瘍や胃がん、ピロリ菌感染などの他の疾患がないことを確認することが重要です。胃カメラで明らかな異常が見つからなかった場合に初めて機能性ディスペプシアと診断されます。
ストレスと胃の不調の関係 〜脳腸相関とは?〜
近年、「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という言葉が注目されています。これは、脳と腸は密接に関係しており、ストレスや精神的な負担が胃腸の症状を引き起こすという考え方です。
例えば、仕事や人間関係のストレスが増えると、自律神経のバランスが崩れ、胃の動きが悪くなったり、胃酸の分泌が乱れたりすることで、胃もたれや膨満感を引き起こすことがあります。また、不安や緊張が続くと、胃の知覚が過敏になり、わずかな刺激でも痛みや不快感を感じやすくなるのです。
機能性ディスペプシアの対処法
機能性ディスペプシアの症状を和らげるためには、以下のような対策が有効です。
1. 食生活の改善
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脂っこい食事や刺激の強い食べ物(辛いもの、カフェイン、アルコール)を控える
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規則正しい食事を心がける(食べ過ぎや早食いを避ける)
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少量ずつ、よく噛んで食べる
2. ストレス管理
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適度な運動(ウォーキングやストレッチなど)を取り入れる
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自分なりのリラックス法を実践する
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十分な睡眠を確保する
3. 必要ならば医療機関を受診
症状が続く場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。機能性ディスペプシアは薬物療法で症状を和らげることができます。
4. 漢方薬による治療も選択肢の一つ
機能性ディスペプシアの治療には、西洋薬(消化管の運動を改善する薬や胃酸を抑える薬など)のほかに、漢方薬も有効です。
漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶ必要があるため、専門医に相談することが大切です。
まとめ
新年度のストレスや生活の変化が原因で、胃の不調を感じる方は少なくありません。「ただのストレスだから」と放置せず、適切な対策を取りながら、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
当院では、機能性ディスペプシアやストレスによる胃腸の不調に対する診察・治療を行っております。胃カメラによる診断や、漢方薬を含む治療の提案も可能です。また、胃カメラに抵抗がある方も、鎮静剤を使ってなるべく苦痛のない形で検査を行うことも可能です。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
末盛内科クリニック 院長 伊藤智康