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花粉食物アレルギー症候群について

2025年3月23日
今年もスギ花粉飛散のピークを迎えて、先週は内科の当院にも花粉症症状で受診される方が多くいらっしゃいました。花粉症をお持ちの方の中で、特定の食物を摂ると口の中がかゆくなったりする方はいらっしゃいませんか?それはもしかすると花粉食物アレルギー症候群の症状かもしれません。

そこで今回は、花粉食物アレルギー症候群(PFAS:pollen-food allergy syndromeについて解説していきたいと思います。


花粉食物アレルギー症候群とは、花粉症の方が特定の果物や野菜を食べたときに起こるアレルギー反応のことです。マスト細胞というアレルギー反応の中心的な役割を担う免疫細胞が花粉のアレルゲンにも食物のアレルゲンにも反応してしまうこと(交差反応)によって起きるとされています。

症状は食物を食べた後の15分以内に出る唇や口の中の粘膜、舌、のどの腫れやかゆみが主体です。頻度は多くありませんが、このような症状に続いて、鼻炎、結膜炎、皮膚症状(顔の腫れ、かゆみ、全身の発疹)、消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢)、呼吸器症状を起こすこともあります。重症例ではまれにショックを起こすこともあります。

アレルギーを起こす食物は以下のように花粉症の種類によって異なります。
ハンノキ・シラカンバ → リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、大豆など
カモガヤ → メロン、トマト、キウイフルーツ、ピーナツ、大豆など
ブタクサ → メロン、キュウリなど
スギ → トマト
ヨモギ → セロリ、ニンジン、マンゴーなど

対策としては症状の出る食べ物を避けることが第一ですが、加熱や加工をすることでアレルゲンが壊れて症状が出にくくなることがあります。

花粉症のある方が必ず花粉食物アレルギー症候群を発症するわけではありませんが、特定の食物を摂ることで上に挙げたような症状が出ることがある方は花粉食物アレルギー症候群の可能性がありますので、お気軽にご相談ください。

末盛内科クリニック 院長 伊藤 智康