東京や大阪をはじめ、全国で麻しん(はしか)の感染者が確認されています。先日愛知県でも感染者の発生が報告されました。今回は麻しんについて書いていきたいと思います。
1、麻しん(はしか)とは
麻しんは麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身性感染症です。感染経路は空気感染・接触感染・飛沫感染でヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いといわれています。特に空気感染は手洗いやマスクなどの一般的な感染対策では防ぐことが難しく、感染者と同じ空間にいるだけで感染するリスクが生じます。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続するといわれています。
次に症状ですが、麻しんウイルスに感染すると10-12日の潜伏期間を経て発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が出てきます。2-3日熱が続き(カタル期)、発疹と高熱が出現し(発疹期)、発疹は全身に広がります。その後3-4日ほどで症状はおさまってきて発疹も徐々に消えていきます(回復期)。このように麻しんは通常発症から7-10日ほどで回復しますが重症化すると肺炎や脳炎を合併することもあります(脳炎は1000人に1人といわれています)。また同時に中耳炎を合併することもあります。
一般に小児期に感染するよりも成人のほうが症状が重くなりやすいともいわれています。また周囲への感染力は発症初期のカタル期が最も強いとされています。
2,治療と予防
現段階で麻しんに対する有効な治療薬はありません。治療は解熱鎮痛剤などでの対症療法になります。そのため、感染しないことが重要になってきます。
麻しんの予防にはワクチンが非常に有効です。現在日本では1歳と小学校入学前の1年間の計2回のワクチン接種が予防接種法で定期接種として定められています。1回の接種でも95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得できるといわれていますが2回接種することでさらに多くの人が免疫を獲得できるとされています。
3、抗体検査は受けるべきか
麻しんにかかったことがある方、予防接種を2回受けたことがある方は麻しんウイルスに対する免疫を持っているため抗体検査を受ける必要はありません。麻しんにかかったことがなく、予防接種歴も不明な方は抗体検査で麻しんへの免疫があるか確認することをお勧めします。
抗体検査は血液を採取して行う検査です。保険が効かないため自費診療になります。結果は1週間程度でわかります。
麻しんは非常に感染力の強いウイルスであり重症化の恐れもあるため、とにかく予防が大事になります。ワクチン接種歴のない方、抗体価が基準に満たない方は積極的なワクチン接種をお勧めします。その他不安やご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。