名古屋市の検診事業として2021年10月1日より名古屋市在住の20歳~39歳の方を対象としたピロリ菌検診が開始となりました。
ピロリ菌は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなど様々な病気の原因となる細菌です。「ウレアーゼ」という酵素を利用することで胃酸を中和し、強い酸性環境でも胃の表面まで移動し生息しています。ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されており、炎症が持続すると感染部位が広がってヘリコバクターピロリ感染胃炎になり、長期間炎症が続くと胃粘膜の胃酸などを分泌する組織が消失した状態、いわゆる萎縮性胃炎になります。さらに進むと胃粘膜は腸の粘膜のように変化し、その後一部の患者さんでは胃がんが発生します。
名古屋市では胃がんの早期発見を目的とした胃がん検診を行っていますがその対象年齢はバリウム検査で40歳以上、内視鏡検査では50歳以上となっています。今回のピロリ菌検診は胃がん検診対象年齢よりさらに若い20~39歳を対象としています。これは成人保健対策の一環として胃がんのリスク因子とされるピロリ菌検査を実施することで、将来の胃がんリスクを認識し適切な治療を受けるきっかけづくりをする事を目的としています。
以下に検診内容をまとめます。
<対象者>
名古屋市内在住の20歳以上39歳以下の方で以下の条件に当てはまらない方
①ピロリ菌の除菌治療を受けたことがある方
②胃の手術歴がある方
③過去にこの検診を受けたことがある方
<費用>
無料
<検査方法>
1、問診
2、血液検査(抗ヘリコバクターピロリ抗体検査)
<結果の捉え方>
1、陽性の場合
抗体価が基準値以上の場合は陽性となります。その場合、ピロリ菌感染が疑われますので、胃カメラでの精密検査が必要になります。
2、陰性の場合
抗体価が基準値未満の場合は陰性となります。ピロリ菌の感染はないと考えられます。ただ、胃がんのリスクがゼロという訳ではないので、胃がん検診や健康診断などでの検査は是非受けるようにしてください。
検査結果が陽性だった場合、結果説明時に胃カメラ予約をご案内します。
ここからは保険診療となりますので、胃カメラはしんどいので嫌、という方にも安心して受けていただけるよう、ご希望の方は鎮静剤を使って眠っていただいた状態での胃カメラも可能です。
胃カメラで慢性胃炎の存在を確認した後、ピロリ菌の除菌治療を行います。
除菌治療も当院で可能ですのでピロリ菌検査→胃カメラ→除菌治療と検診から治療まで一貫して当院で行うことが可能です。
胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往があるご家族がいる方、家族がピロリ菌の除菌をした方などは是非この機会にチェックを‼
問診と血液検査だけの簡単な検診ですので事前の予約なしでも気軽に受けていただけます。ご希望の方はスタッフまでお伝えください。
受診の際はweb予約かお電話でお問い合わせいただくと比較的スムーズにご案内できますのでよろしくお願いいたします。